商品開発にみる温故知新
11月22日、私の誕生日に、大阪万博公園で行われている「1970年デザイン展」に家族で出かけました。自分が生まれ、いざなぎ景気に沸いていたこの年にどんな事が起こっていたのか、歴史から学び、家族で特に息子とそれを共有したかったのです。
その展示は、想像以上に「イノベーションの宝庫」でした。1970年というと今から44年前。その時すでに、携帯電話(左)や電気自動車の原点がありました。携帯電話では会場から観客が全国に自由に電話ができ、電気自動車は入場者を乗せて会場内を移動したそうです。そして、この万博が実験の場として利用され、その後の商品開発に活かされたそうです。
「このような商品開発力があったのに、なぜ今、日本の産業は元気をなくしてしまったのだろう?」と展示を見ながら考えました。そして、私なりに2つほど原因を考えました。
1. 当時の製品は、家庭の中での便利さや快適さがクローズアップされ、商品と通しての夢を実現させた。初の月面着陸を成功させたこの時代、人々は、商品がもたらすそれらに価値を感じて購入し、その商品(3種の神器・自動車・マイホーム)に夢を持った。商品を獲得する事が、夢を獲得する事だった。
2. しかし、製品がイノベーティブであっても、それを取り巻く「ライススタイル」をイノベーティブに出来なかった。言い換えると、イノベーティブな商品が生み出す新たな市場を創造できなかった。
つまり、商品発想は良いのに、ビジネスのイノベーションが進化しなかったところに、日本の弱点があったのではないかと思うのです。日本は自国の市場拡大による成功体験を甘んじて、変化を敬遠してきたのではないでしょうか。「過去に例がないから」「実績がないから」という常套句で・・・。
「生活が第一」は、政治の世界だけでなく、産業の世界でも、この複雑化した時代に合わせてますます求められるでしょうし、そのためには、企業が「社会を良くする」という大きな視点に立つことが重要なのだということは、皆が薄々感じ初めているのではないでしょうか?
私の生まれた1970年。それは、日本国民が自分の国の未来に希望を持ち、夢を追いかけていたステキな時代だったんだと感じました。
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