LCCで、多くの人を幸せにする
LCC(Low cost carrier)のアジアの勝者、エア・アジアCEOについて書いてみたい。
LCCは、価格を考えれば、夢のようなソリューションのはず。しかしLCC企業間の違いってなんだろうね、と話していたところ、マレーシア出身の友人が、「エア・アジアのCEOは、すごい経営者だよ」と教えてくれた。
ANAとの記者会見などでテレビで見たときは、あまり良い印象ではなかった。本当はどんな人なのだろう。
トニー・フェルナンデス (Tony Fernandes)。
マレーシア出身の起業家。イギリスのロンドン大学で経済学を学び、ヴァージン・レコードで監査人として働く。その後、ワーナーミュージック・マレーシア社で、史上最も若いマネージング・ディレクター、ワーナー・ミュージック・グループの東南アジア地区担当・副社長を務め、2001年に、エア・アジアを設立。アジア出身のグローバル人である。
そんなトニー率いるエア・アジアは、今では大成功している。そして同社について学ぶほどに、その成功は、トニーのビジョンにあるとわかった。
かつてのマレーシアでは、飛行機は、所得が高い“数パーセント”の人しか利用できなかった。それを知っていたトニーは、多くの国民が、所得に関わらず利用できることをビジョンとして、「価格」からサービスをデザインしていった。
そのビジョンは、“Now Everyone can Fly”というタグラインに感じられる。
彼のビジョンは、父親からの教えに大きく影響されている。医者であった彼の父に連れられ、父が貧しい人からはお金をとらず、多くの人を助けている姿を見て育った。そして父親からは、「私は幸運なことに、たまたま恵まれていた。恵まれた人は、そうでない人を支援する必要がある」と教えたと言う。
人生の価値観に根差したビジョンというものは、強い力となる。彼がエア・アジアを設立したとき、下記のように、多くの壁や困難が待ち受けていた。
1.買収した3日後に、9.11 テロが起き、航空業界にとって最悪の時期となった。
2.航空事業ライセンスを得るためには、11億円の負債があり、経営破綻した航空会社を買収しなければならなかった(当時の彼の所持金は、5000万円程度だったので、持ち家を抵当に入れた)。
3.マレーシア航空(マレーシアのフラッグキャリア。最大の路線をもつ)が、政府からの救済金を使って、ディスカウント攻勢に出た。
この状況になったら、誰もが事業をあきらめるだろう。 しかし、トニーは、あきらめなかった。彼は、知恵を絞り、果敢に挑戦し、設立1年後に全負債を完済、2年後には黒字化、そして、世界No.1LCCに選ばれるほど、同社を成功に導いた。
人々を幸せにするという「ビジョン」があったからこそ、多くの苦難や壁を乗り越え、魅力的なサービスを提供できたのだと思う。
あなたのビジョンが、あなたの成功をデザインする、そう確信した。
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