信頼は国境を越える、グレッグ・リーヴ
もうすぐゴールデンウィーク。
皆さんは、どのように過ごす予定ですか?
私は、海外のドラマや感動映画を見るのが大好きなので、家で映画三昧したいと思います。先月見たウィル・スミス主演の「幸福のちから」は、涙なくしてはみれない感動ものでした。
皆さんが感動した映画を知っていたら、newsletter@hkgc.jpまで、紹介してくださいね!
今日は、携帯電話会社で世界シェアNo.1のボーダフォンで勤務しているグレッグを紹介し、イギリス人流「グローバル人」の魅力をお伝え致します。
グレッグは、イギリス本社の開発部隊のリーダーで、一躍ヒットした「ブラックベリー(PDA式携帯電話)」、モバイルデータなど、主に法人ユーザーを対象としたサービス開発にあたっています。
グローバルビジネスに関する書籍の多くは、富の格差、地域文化の破壊など、否定的なイメージで書かれているように思います。
しかし、私は、グレッグと仕事をして、グローバルビジネスのポジティブな面を感じました。
なぜなら、彼は、各国の顧客ニーズや商習慣の違いに、敬意を払い、グローバル・チーム力の相乗効果を高めようと、あらゆる努力をしているからです。そのプロフェッショナルぶりの一部を、本メルマガでお伝えします。
グレッグとは、2003年から一緒に仕事をしました。彼は携帯電話の国際専用線サービスのリーダーで、私は、日本市場向けの代表でした。
グレッグは、ヨーロッパ諸国と日本を束ねて、国際会議の主催、 各国とのディスカッション、テクノロジーベンダーの選定、技術仕様書作成、開発プロジェクトの進捗管理など、膨大な仕事量をプロとして、スマートにこなしていました。
そんなグレッグの、ステキポイントについて考えてみました。
ステキポイント1:
●各国の多様性を楽しむ余裕がある
彼は、多くの国を束ねた週1回の国際電話会議で、ジョークを言ったり、明るい声でチームを盛り上げてくれ、各国からの参加者をリラックスさせてくれます。一方、脱線した話をうまく本題に戻し、いつの間にか、ディスカッションの結論を導き出し、各自に宿題を与えます。ですから、参加者も安心して脱線できるというわけです。
また、日本へ訪問した際は、例えば「モンダイアリマセン(No problem)」等、自分が頻繁に使用する前向きな表現を覚えて、頻繁に使っています。これは彼が心がけている習慣で、他の国でも同じように、現地語で一言挨拶するようにしているそうです。そんな彼が作成する書類には、各国の国旗が掲載されています。
彼の言葉を引用してみましょう;
「I remember something one of my trainers said regarding differences in global cultures. He said :"if you think that something in their culture is strange, then it means that they think exactly the same about you"」
日本語訳:「僕のビジネストレーナーが、異文化について言っていたことを思い出すよ。それは、『もし、あなたが相手国の文化について何かおかしいと感じたなら、彼らも、あなたの国の文化について、同じように感じている』」。
彼の言動を見るたびに、彼はある特定の国というより、世界のいろんな国を知り、多様な価値観の中で仕事をするのが大好きなんだな、と感じます。
●相手の持つ価値観や習慣を理解しようと努力する姿は、「相手を動かす力」を生み出すと思います。
例えば皆さんは、外国人から話しかけられる時、いきなり英語で捲くし立てられ(私もよく経験しました)、失礼な態度に憤慨した事はありませんか? 同じ外国人でも、まず、日本語で挨拶し、コミュニケーションの努力をする人の方が、好感を持たれ、相手の心を開かせる力を持っているのです。
これは、どこの国でも共通でしょう。私が、イタリアへの出張時に、現地語をいくらか勉強して話すと、喜んで、他の言葉まで教えてくれ、良好な関係を築けたのを覚えています。
外国人だからと恐れずに、違いを楽しむ余裕を持つ。
これが成功の秘訣だと思います。
ステキポイント2:
●英語でうまく話せない人からでも、意見を引き出し、ビジネスをまとめる力
皆さんは、外国人から話しかけられて、四苦八苦したことはありませんか? 私は、まだ国際会議等の場になると、緊張することがあります。
ヨーロッパ数十カ国を囲んで国際会議があると、英語を得意としない人が何人かでてきます。
まず、グレッグは、相手がどんな英語を話そうとも、じっくり耳を傾け、まず理解しようと努めます。彼にとって英語は母国語ですが、それを武器として、相手を説き伏せようとしません。
また、シンプルな英語である「Plain English」を話します。
彼が紳士の国「イギリス」出身だからではないと思います。私の経験では、辛らつな批判やジョークを相手にぶつけるイギリス人も多くいましたので。。。。
英語が母国語じゃない人にとって、英語でディスカッションする事の精神的な負担は大きいのです。言葉のハンディキャップのせいで、きちんと説明ができない事もあります。でも、グレッグは、辛抱強く、話された言葉を繋ぎ合わせて、意図を読みとり、個人を理解しようと努めます。
「英語が不得意=弱者」にどのように対処するかで、人間の器がわかるような気がします。何を話しているかわからないから適当にあしらう、のか、もっと話を聞いて理解しようとするのか。
結局、私は彼の「人間性」や「心構え」に敬服しているような気がします。
意外なことに、インタビューを通じて、彼も同じことを考えていることがわかりました;
(私):
「グローバルなプロフェッショナルとして、成功するための要素やスキルは何だと思う?」
(Greg):
「The key skills are the same for any area of work such as follows. If you have these things at the front of your mind then you will succeed
日本語訳:「重要なスキルというのは、どんな分野でも共通だと思う。つまり、こんな心構えで物事に取り組めば、誰でも成功するよ」。
それは、下記のようなものでした;
- Honesty (正直)
- Integrity(誠実)
- Humulity (謙遜)
- Respect (尊敬)
- Hard Work (勤勉に働くこと)
要するに、グローバルなプロにとって、重要なのは、「心構え」なのです。
英語が得意じゃない人々にとって、会議終了後の、「議事録」はなくてはならない代物です。グレッグが作成する議事録はすごいんです。そこにも彼の優しさが表れています。
日付から始まって、参加者の国と氏名、議題、回答者のコメント、次回のアクション、プロジェクトのリスク、関連書類の添付など、全てが網羅されているのです。
まるで、レコーダーか何かで記録したかのように正確で、簡潔に整理されている。この議事録があることによって、英語が不得意な人でも辞書を引きながら、理解の確認が可能となるのです。
また、会議の参加者の数が多くなると、日程が合わず参加できない人もでてきます。きちんと整理された議事録があれば、話し合われた内容や状況の理解が深まり、欠席による穴が埋められるのです。
相手への興味や尊敬する態度。つまり、「英語」という言語よりも、それ以外の「非言語」の部分から、メッセージは伝わるのではないかと思います。
例えば、対話する時は、相手の「目」、「顔の表情」、「こちらの話を聞こうとする姿勢」。電話なら、「声のトーン」。メールなら、「迅速な回答」。「パーソナルな挨拶が入っているか」等。
このように卓越したコミュニケーション力を持っているグレッグと私は会う前から、ビジネスにおける信頼関係を確立していました。
(もちろん、来日して、実際に顔を合わせてからは、一層理解が深まりましたが。。)。
言葉、国籍、そして地理的な”距離”を越えて、「信頼」というものを確立できるなんて、すごいと思いませんか。
「飲みにケーション」を通じてこそ良好な関係が築ける、と言う人もいますよね。
もちろん飲食を共にすることは人間関係を良好にする助けになると思います。でも、その前に、人として、興味を持ち、相手を尊敬する気持ちを伝えられれば、「飲みにケーション」がなくても、会ったことがなくても、信頼関係は構築できると思います。
今回は、グレッグを通じて、国境を越えて「信頼」を確立するヒントをお伝えしました。
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