バリの隠れ家的リゾート 「ワカ」の創業者と そのファミリー達
先週、大阪府近郊の自然公園、「能勢の郷」に行きました。
大雪がまだ残っていましたが、自然の空気や緑に触れ、心も体もリラックスできました。都会育ちの私は、ついつい、忘れがちですが、人間は自然の一部なんですよね!
「バリの隠れ家的リゾート「ワカ」の創業者と、そのファミリー達」
数年前、企業で勤めていた私。例のごとく、早朝から深夜まで働き通しで、体の感覚を失うほど疲れていました。都会の喧騒から離れ、体の心から癒されたい、そんな思いで、たどり着いたのが、バリのワカ・リゾートだったのです。
http://www.wakaexperience.com/
>>「ワカ マヤ(Waka Maya)」(デンパサール近く)と
>>「ワカ ディ ウモ(Waka di Ume)」(ウブドという中心部にある村)
の二つのリゾートに滞在して得られた、素晴らしい体験、、、。
それは、神秘的で癒しと喜びに包まれる感覚でした。
今回、その「ワカ・リゾート」の創業者やファミリー、そして、ワカ・ブランドのステキポイントをお伝えしたいと思います。
ホテル、レストラン等のサービス業だけでなく、あらゆる業種で参考になる内容だと思います。
●ワカについて
ワカは、インドネシアのバリを中心に、リゾートとツアーを展開している企業です。創業者は、ワヤン・カリ氏(Wayan Kari)です。
1992年に レンボンガン島(Nusa Lembongan)で、セーリングボートと滞在型リゾートを提供したのがサービスの始まりです。
「リーフクラブ」というコンセプトが大当たりし、同社の独自性を発揮する基礎となりました。
http://www.wakaexperience.com/waka_map.htm
現在は、このリゾートとツアーを中心に、トランスポーテーション、投資、コンサルティングなど、20にもなる会社で構成されるグループ企業です。
リゾート内の建物は、基本的に、ヴィラ(庭付き一戸建てホテル)かバンガロー(小屋風建物)タイプです。どの場所でも、一貫したブランド管理のもとで、独立したサービス価値を提供しています。
●ステキポイント1: 神秘的体験-ワカ・エキスペリアンス
ディズニー、それは、夢と感動の体験を提供しつづけている楽園であることは、多くの方が知っています。
私は、ワカにも、同じくらい素晴らしい演出力を感じます。
彼らは、「ワカ・エキスペリアンス」という言葉を編み出し、下記の ような定義をしました;
”On the island of the Gods, experience has a new name ....The Waka Experience...”
(訳:神の島においては、エキスペリアンスが新たな価値をもたらす、それがワカ・エキスペリアンス)
ロマンチックなコンセプトでしょう?
そのステキなワカ・エキスペリアンスとは、、、、。
http://www.wakaexperience.com/
ホテルの概観、インテリアは、洗練されたモダンなデザインです。しかし、入り口の仏像や、バリデザインの花瓶、アート、そして、常に笑顔を絶やさない現地人スタッフを通じて、現地の文化をスタイリッシュに感じさせます。
全ての場所は、照明が暗めで、テレビは置いてありません!
ホテルの内装品には、ナチュラル志向が徹底されています。
プラスチックは使わず、コットン、シルク、麻などの天然素材、または、再生紙を使っています。
自然との融合体験を贅沢に感じることができます。
例えば、テラスは広く、ライス畑にを広く見渡せたり、屋外のシャワーで星空を眺められたり、、、。
また、ランドローバーの乗って山をクルーズするツアーでは、山奥で、自分だけのプライベート・レストランを楽しめたり、、、。
あるリゾートでは、温かく透明な海水に、イルカや、マヒマヒなどの遊泳も観察でき、その後、BBQでフレッシュな魚を食する体験ができます。。
徹底したブランド・ポリシーに則って提供されたワカ・エキスペリアンス。一度経験したら、また行きたいと思わせるパワーを持っています。
●ステキポイント2: 研ぎ澄まされたブランドとマーケティング力
ワカブランドは、実は、戦略的な努力の賜物なのです。
彼らの実に巧みなマーケティング力を紹介しましょう;
◇ ポジショニング(市場で差別化した自社の位置づけのこと)
独特なブティック系リゾートとツアーを提供する。
◇ ネーミング
ワカは、創業者ワヤン・カリの名前が由来で、サンスクリット語で、「木」、アメリカン・インディアン語では、「自由な魂」、という意味もあります。
全てのリゾート名称は、「ワカ」で始まり、「ワカマヤ」「ワカディウモ」「ワカクルーズ」「ワカダイブ」など。ワカというブランド認知を高め、相乗効果を得られるよう、デザインされています。
◇ タグライン
各リゾートには、それぞれ個別の特長を表現するタグラインがあります。
例えば、
*WakaMaya Resort & Villas;
a sancruary by the sea ‐海の近くの神秘的な場所‐
*Waka de Ume;
a very different resourt and spa ‐今までと全く違うタイプのリゾートとスパ-
◇ ワカのブランド・ポリシー
ワカでは、ブランドの基本ポリシーを、詳細に、しっかり作成しています;
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○ 小さくてチャーミング (Small and charming)
○ スタイリッシュ (Stylish)
○ バリの伝統・文化を感じさせる (Bali culture and tradition)
○ 世界の高級ホテルのミニチュア版(Equalling any deluxe international hotel, only in miniature)
○ 自宅のようなくつろぎ感 (Feel at home)
○ ナチュラル志向 (Natural oriented)
○ 聖域的な静けさ (Sanctuary)
○ スタッフは、親しげで、プロフェッショナル (Professional but friendly local staff)
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ホテル施設などをアピールするよりも、顧客の五感に訴えるように、コンセプトを作っていますね。
そして、彼らの差別化された「コンセプト作り」のお陰で、バリにある欧米の5つ星ホテルともうまく住み分けています。
今では、国際的に知名度が高いブランドとなったワカ。
それは、この徹底的にブランドを追求し、具現化し、一貫してその態度を変えないという態度があるからでしょう。
●ステキポイント3: 創業者の先見性と、海外の専門家達とのコラボレーション
ワカは、カリ氏のホテル業界での成功とリーダーシップが息子達に引き継がれて、多くの人々とのコラボレーションがあって、発展してきました。
カリ氏のキャリアは、戦後、行商人として始まりました。
その後、食料雑貨店、スパイスや原料の販売など、段階的に、時間をかけて、事業拡大してきました。
1977年、ホテル参入を決め、彼の先見性ある行動が実を結び始めました。
なんと、大胆にも、有名なピーター・ミューラー氏(Peter Muller)によってデザインされたプライベートビーチを買収したのです。そして、、オベロイホテルとして成功させ、インド、エジプト、サウジアラビアなど国外にも展開しました。
このホテルは、今や、高級リゾートホテルの「老舗」として君臨しています。ピーター・ミューラー氏は、オーストラリア人の自然志向建築家であり、数々の受賞歴を獲得しています。作品の一つであるバリの「アマンダリホテル」はあまりにも有名ですね。
ピーター・ミューラー:
http://www.members.optusnet.com.au/pnmuller/profile.htm
オベロイホテル:
http://www.oberoihotels.com/
アマンダリホテル:
http://www.amandari.com/
カリ氏のこのホテル業界でのノウハウと資産を活用して、加わった3人の息子たちは、「ワカ」というブランド名で、1991年にワカを設立しました。息子たちは、設立早々に、様々な専門家と共に、マーケティング戦略を練りました。
彼らは、小さな国内市場だけでなく、オーストラリア、ヨーロッパ、日本など、海外の顧客にも訴求していく必要がありました。
よって、選択した方法が、国内と海外の専門力を活かすことだったのです。
そこに、ビル・クィンラン氏(Bill Quinlan)がいました。彼は、オーストラリア出身のマーケティングコンサルタントで、ワカのマーケティングに1993年から携わっており、現在は、マーケティングのヘッドです。広告業界にて、国際的なキャリアを持っており、ワカの影の立役者として貢献してきました。
この、ワカの年代や、国を超えて、コラボレーションをする、という態度から、私達、特に日本の中小企業は、大きなヒントを得られるのではないかと思います。
なぜなら、日本では、「日本の良さは、日本人が一番良く知っている」という態度を多く見ることがあるからです。
果たして、本当にそうなのでしょうか?
欧米のメディアなどから見た「日本のかっこいい文化やサービス=クール・ジャパン」という言葉を知っていますか? 日本では、同名のテレビ番組も提供されています。このクールジャパンが、ビジネスのチャンスとなっているのです。例えば、健康的でモダンな和食レストラン、アニメ、温泉などがそうです。
つまり、外国などからの違った視点を加えるだけで、自分たちでは、当然として見えなくなっている良さを引き出せたり、新しい要素を加えて、付加価値サービスとして、提供できることがあるのです。
自分たちの良さ、魅力を、引き出すためには、「違った視点」が必要なのです。特に、ターゲット顧客が、日本人ではなく、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど外国人であれば、その国の「視点」を求めていく、という姿勢はごく自然な結論だと思います。
日本の老舗企業、デザイナー、メーカーなどが、欧米やアジアの力を借りたら、どんなにステキな商品に変わっていくんだろう。
「日本」Ver2.0として、生まれ変われるかもしれません。
●ステキポイント4: クトゥ氏の個人的価値観とワカ・ブランドとのハーモニー
カリ氏の4番目の息子として生まれたクトゥッ シアンダナ氏(Ketut Siandana)。彼は、アート・ディレクターとして、ワカ・デザインを創造し、ワカ・グループに大きく貢献した一人です。そのステキなデザイン哲学をお伝えしたいと思います。
ワカ・リゾートの多くの建築デザインを担当した彼は、一貫して、ナチュラル志向に徹しています。下記に、彼の写真と作品が見れます;
http://www.his-balifreak.com/balifreak/freak/freak_special/200501/pr_050111.html
例えば、ホテル立地の場所に、大きな木や石があっても、切り捨てないで活かしたり、インテリアには、古木や廃材を活用したり、、、。
つまり、その土地や環境を「破壊せず」、うまく「調和」していくという姿勢なのです(日本の不動産業界にも学んで欲しいですね)。
実はこのナチュラル志向は、彼個人の価値観なんだと思います。なぜなら、彼の自宅も、自然と見事に融合したワカデザインをうかがわせるものであるからです。
私は、あえて、この「個人の価値観」に注目したいと思います。もし、このナチュラル志向というものを、個人の価値でなく、「お客さんが求めているから」とか、「流行だから」という理由で提供していたら、どうだったでしょう。きっと、薄っぺらさを感じたのではないでしょうか。
彼の場合、自分の個人的な価値感からきていて、それが、彼の仕事観となり、ワカという「ブランド」として伝えている。。。だから、私たちは、「本物」を感じられるのでしょう。
人と違っていていい、自分自身が、心から敬意を感じたり、興味を持てるもの。それらの個人的価値観をベースに、ブランド構築した会社は、雨が降っても嵐が吹いても、ぶれずに、一貫した商品やサービスを提供することができます。
本物のブランドは、本物の自分像から生まれる、そんなメッセージを感じます。
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