リーダーのストーリー
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ニューヨーク・ハーレム街に希望を与えた教師 ロン・クラーク

ニューヨーク・ハーレム街に希望を与えた教師 ロン・クラーク

先週、大阪大学にて「国際キャリア学入門」の第1回目の授業を無事終了しました。生徒は何と220名! 想像以上に自分の強みや、それを活かしたヒト・ブランディング、将来のキャリアについて強い関心があることに驚きました。ウェブサイトに写真掲載しましたので、良かったら見てください;

https://hkgc.jp/topics/2008/000150.html

先生と生徒というのは、まるで親と子のような関係ですね。
なぜなら、生徒の学びや成長が、先生の喜びだからです。同時に、忘れてならないのが、先生も生徒によって、成長させてもらっているという事です。

授業は、今年の夏まで続きます。

今回は、ニューヨーク・ハーレム街にある荒れた小学校から成績優秀者を輩出し、“America's educator”(アメリカを代表する教育者)と呼ばれている小学校教師、ロン・クラーク(Ron Clark)の魅力を、紹介します。

生徒の心までをも変えていったその手法やプロセスに、私は深い感動を覚えました。教育者、ビジネスパーソン、また、学生にとっても、「信頼」を核とした「ヒト・ブランド」構築のために学べるステキな内容です。

●ロンについて

ロンは、「若い / 情熱的 / クリエイティブ / 理想に燃えている」、そんなイメージを持った人です。

彼のプロフィールと写真が、自身のサイトから見られます:
http://www.ronclark.info/About_Ron_Clark/

彼は、教師という職業に、もともと全く興味がありませんでした。スリリングな人生を求めて、世界各地を旅したりしていたのです。
そんなある日、欠員を補うために学校を手伝った経験が、彼の運命を変えました。学校に着いた瞬間に、「これだ!」という強い衝動を覚えたといいます。

そして、故郷ノースカロライナで、担当するクラスを4年連続で郡の中で一位に導き、素晴らしい実績を上げました。

ある日、ハーレムのひどい教育現場がテレビで報道されていました。そのとき、またしても、ロンは、「この場所に呼ばれている」という確信を得ました。そして、何の不自由もない故郷を捨て、無謀にも(笑)、知り合い一人いないニューヨークへと向かいました。

ハーレムの小学校に赴任したときは、何と28歳という若さ。担当したクラスは、問題児ばかりで、どの教師も長くは続きませんでした。学校の給与は安く、レストランでのバイトで、生活をつなぎました。

ロンは、「生徒の成績を州の平均点以上にまで、向上させる」という目標を誓い、見事、1年で実現させました。そして、生徒の人生は、内面からも、見事に変えられたのです。

この素晴らしい業績が認められ、2000年、ディズニーから「全米最優秀教師賞」を受賞しました。また、ホワイトハウスに招かれ、CNNやオプラ・ウィンフリー(前回メルマで紹介しました)などのメジャーな番組に出演するほどになりました。

彼が、オプラ・ウィンフリーに出演している動画は、下記リンクの、1、4、6番目にあり、どれも、楽しく見られます; 
http://www.ronclark.info/Photos_Videos/videos.asp

●ステキポイント1:独特のルールを考案し、点数だけでなく、生徒の内面から変化をもたらした

当初、生徒達は、怒りや失望という気持ちしか持っていませんでした。そして、「自分達は、社会の落伍者なんだ(We are losers)」だと思い込んでいました。

そこで、ロンは、生徒達に、「ルール」を提案しました。全部で55個あります。壁にポスターを貼り、徹底的にくり返しました。「ルールなんて要らない!(We do not need rules!」、生徒からの反抗の嵐。しかし、何があっても、変えなかったのです。

彼が最も頻繁に使っていたルールは、下記のようなものです;

"Dream Big"(大きな夢を持とう)
"Take Risks"(失敗をおそれるな)

当たり前に聞こえますが、本当に相手を思って、心の底から言われる事ってなかなかないのではないでしょうか。もし、こんな言葉を、自分の親から言われたら、自分の人生はもっと変わっていたのではないか、そんな思いさえ感じます。

そして彼が最も重要視していたルール、それは;

"We are a family."(僕達は、家族なんだ)

リップサービスで言っているのではありません。生徒の自宅を訪問したり、家事を手伝ってあげたり、相談に乗ったり、、、。
本当の家族のように、共に時間を過ごしたのです。

「僕達は家族なんだ。だから、悩みがあったら互いに共有しあうし、助け合う。嘘もつかないんだよ。」、と、ロンは、生徒に語ります。

家族内での不信感がただよう現代。この言葉によって、私達は、昔あった温かい家族像が思い浮かべることができます。

ロンの「ルール」を通じて、生徒達はやがて心を開き、自分達は、何かできるかもしれない、と思い始めました。希望を見出し、表情も、言葉遣いも、行動パターンも、そして、成績までが変わっていったのです。

ロンのルールは、著書「あたりまえだけど、とても大切なこと-子供のためのルールブック(The Essential 55)」にまとめられています。2003年に出版され、世界25カ国で100万部以上のベストセラーになりました。
学校だけでなく、日常や仕事生活にも、役立つ内容です。  
https://hkgc.jp/topics/2007/000097.html#comment-477

余談ですが、ロンはある雑誌インタビューで、「祖母から多大な影響を受けて育った」と証言しています。彼の作ったルールは、祖母からの学びが多かったのではないかと想像します。

ロンは、失われてつつある、おじいちゃん、おばあちゃんの教えをしっかり現代に伝えてくれたのですね。

●ステキポイント2:生徒のハートを掴み、「絶対的な信頼」を構築した

ステキポイント1にあるように、生徒の反応は、無視、反抗、教室中に落書きしたりなど、ひどいもので、忍耐との戦いでした。
時に、生徒を殴ったり、窓から投げ出したい衝動にもかられたといいます。

実は、そんな生徒の家庭は、問題が山積していました。例えば、両親の離婚、貧困、児童虐待、育児・兄弟の面倒などなど、、。

そこでとったロンのアクションは、下記のようなものでした;

A.生徒一人ひとりについて、深く理解する

ロンは、生徒の内面にまで、一歩でも二歩でも立ち入り、理解を深める努力をしました。例えば、授業開始前に、全員の家庭訪問をしたり、Double Dutch(2本の長い縄を使って行う長縄飛び)など、子供が大好きな遊びに参加したり。また、一対一のカウンセリングも忘れませんでした。時に、子育てで忙しい少女の勉強時間を捻出するために、代わりに夕食作りをして、母親からクレームされた程です。

生徒の癖をも把握し、行動を予測できる程になったロンは、当然ながら、生徒一人ひとりが持っている「ユニークな性格、能力、可能性」を見出し、本人に伝えていきます。

B.「楽しく」学べる画期的な授業を考案した

例えば、

*「歴代大統領ラップ」なるものを作詞・作曲し、ヒップホップ調に、歴史を覚えられるようにした
*生徒が授業で発言するごとに、ロン自らがココア牛乳一本の一気飲みをしてみせた(彼は卒倒寸前でしたが。。)

これらは、生徒の興味を引き、生徒との個別な関係づくりに大いに役立ちました。

C.問題解決するまで、決してあきらめない

ロンは、肺炎になっても、入院先で講義ビデオをつくり、授業のペースを崩しませんでした。また、退院して学校に戻ったときに、生徒の成績が下がっていましたが、あきらめず、1週間後に迫った州テストに向けて努力を続けました。

これら3つに共通している事、それは、

「信頼」を構築すること

なんだと思います。

「信頼」とは、「この人なら、確実に、私を助けてくれる」という確信だと思います。

当然、信頼獲得は、時間がかかることです。しかし、信頼の積み重ねがブランド力へとつながるのです。信頼を構築できたビジネスや人は、人々の強い支持を得て、常に選ばれる存在となります。

ロンが成果を挙げられたのも、まず生徒の信頼を勝ち取ったからなんですね。

この「信頼」を勝ち取るプロセスは、ビジネスにもそのまま応用できます。メルマガの読者には、是非、信頼を基盤とした自身のヒト・ブランディングを構築して欲しいと思っています。

●ステキポイント3:生徒達の人生に、決定的で持続可能な良い変化をもたらしたい、というビジョン

なぜ、ここまで情熱的になれるのか? 一体ロンは何を求めているのでしょうか。

ロンが最も嬉しかった経験は、生徒60人を連れて「オペラ座の怪人」に連れて行ったことだそうです。生徒達は、低所得層が多く、だからこそ、最前列の最高の席で、パフォーマンスを見せてあげたいと思いました。その為、彼は、追加のバイトで、6週間、ドーナツ販売をし、資金を作りました。

当日、ロンは驚きました。なぜなら、いつもは騒がしく、暴れたり、ダンスしたりして落ち着かない生徒達が、ショー開始と共に、おとなしくなり、目を輝かせ始めたのです。

このときの感動を、ロンはこう語ります;

"That moment was powerful for me because I realized that no matter where those students go in life, they will take that moment with them."

日本語訳:
「その瞬間は最高の気分でした。だって、生徒達が、これから、どこへ行こうとも、あの素晴らしい瞬間を、自分の人生の一部として持ち続けていってくれると思ったからです。」

ロンは、貧しい生徒に、施し程度のものでなく、一般の人でもなかなか経験できないような、”最高の経験”を提供したかったのですね。

そして、その先にあるものは、テストスコア向上とか、短期間で消えるような表面的な変化ではなく、普遍的で、決定的な”良い変化”を、生徒の人生にもたらすことなのです。

皆さんは、お客様にどんな付加価値、感動、又は、体験を提供したいと思っていますか?

ありきたりのサービスや現状に縛られたものでなく、ゼロベースで、相手をアッといわせるような画期的なアイデアを考えてみませんか?

●現在のロンの活動:ロン・クラーク・アカデミー

ロンは、低所得者層地域の生徒を受け入れる「ロン・クラーク・アカデミー(NPO)」(アトランタ州)を、2007年に設立して、さらなる試みにチャレンジしています。

http://www.ronclarkacademy.com/ron_clark_academy/

ここでは、革新的な試みがなされています。例えば、世界を教室の場所とみなして、卒業するまでに、毎年海外旅行するカリキュラム、PC、録音スタジオ、ダンススタジオなど、最先端の技術を駆使した教室や広大な図書館(学生がおもわず Cool!と思うような)を提供したり。
そして、最も重要なのは、ダイナミックで革新的で素晴らしい(Phenominal) な教師陣です。

今後何がおきるか、まだまだ目が離せないロンです。

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