リーダーのストーリー
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余命宣告された大学教授からのメッセージ  ランディ・パウシュ

余命宣告された大学教授からのメッセージ  ランディ・パウシュ

実家近くのお祭りで、3歳の息子が金魚すくいに挑戦しました。

生まれてから4度目の挑戦で、なんと、1匹すくえました(!)。

1匹しかすくってないのに、4匹お持ち帰りさせてもらえました。
もちかえった金魚、さあ、どうしよう。。。そんな時、お義母さんが、ベランダのプールに金魚を放すという提案をしてくれました。

プールの中の金魚すくいは、まさに川の中で魚をとるような感覚。。息子は、はしゃぎまわって、心の底から楽しんでいました。

素晴らしいアイデアをくれた婆ちゃんに感謝です。

皆さんは、夢を描いた事がありますか?少なくとも幼い頃などは、無邪気にそんな経験を沢山していたのではないでしょうか?

大人になるうちに、いつしか、現実が見えてきて、目の前の仕事をこなす事で精一杯!、そんな毎日を過ごしている人も多いと思います。数年前の私もその1人でした。

でも、今日は、ちょっと一息入れて、子供の頃の自分を思い出しながら、このメルマガを読んでもらいたいなあ、と思っています。

なぜなら、今回のステキ人は、「命」をかけて、夢をかなえる事の大切さを伝えているからです。

彼の名前は、ランディ・パウシュ(Randy Pausch)。

ランディは、バーチャル・リアリティの第一人者と称される人物であり、カーネギーメロン大学コンピューターサイエンス部門の教授として、大活躍をしていました。楽観的、行動家、夢を決してあきらめない、そして、多くの人に愛される素晴らしい教授でした。
(カーネギーメロン大学に、彼のプロフィールが載っています)
http://www.cmu.edu/homepage/beyond/2008/summer/an-enduring-legacy.shtml

ランディは、2007年8月に、癌の転移を知らされ、余命数ヶ月と宣告されました。そして、残された貴重な時間で、自分が大切にしているメッセージを伝えようと、「最後の授業-Last Lecture」を行いました。

ランディの授業は、全米2500万人にテレビを通じて報道され、YouTubeなど動画配信された結果、アクセスは、600万以上に上りました。アメリカで今、感動の嵐が起きているのです。

以下は、ランディのブログ(日本語訳)です;   
http://www.aoky.net/articles/randy_pausch/update_page.htm

ここでは、癌宣告から、彼が永遠に眠るまでの、日々感じたことが記されています。中には、ブッシュ大統領からも感謝の手紙が届いた事が記されています。

なぜ、私がランディについて書こうと思ったのか、、、。

それは、ランディの著書「最期の授業~僕の命があるうちに~」の表紙帯の言葉に凝縮されています。

「余命半年と知ったとき、あなたは誰にどんなメッセージを残しますか?」

これは、私が、青年期から抱いていた疑問です。

そして、2008年7月25日、本メルマガ執筆の準備をしている間、ランディは永遠の眠りにつきました。

享年47歳。 最愛の妻ジェイと、5歳、2歳、1歳の幼い3人の子供を残して、去っていきました。

自らの命をかけて、メッセージを伝えてくれたランディ。

私にできること、それは、「私の命のあるうちに」、ランディのメッセージを伝える事、そして、夢を持つことの素晴らしさを、このメルマガで伝える事です。

ぜひ、ランディの本を読んで下さい。ランディの本は、アメリカで今年4月に出版され、既に大ベストセラー入りし、6月に出版された日本語訳も大きな反響を呼んでいます;

最後の授業

●ランディ・パウシュのプロフィール

ランディは、1960年に生まれ、メリーランド州コロンビアの中流家庭で育ちました。

両親は、度が過ぎるくらいの倹約家でしたが、愛情一杯に、のびのびと育てられたようです。

父は、貧困地区で、自動車保険を販売する小さな会社を経営し、母親は、英語教師でした。両親は、仕事の傍ら、非営利団体を通じて移民の子供や、タイの子供への教育・生活支援を続け、自らは粗末な生活を選んだようです。慈善精神にあふれる「キリスト教徒」の両親でした。

外食も映画もめったに行けませんでしたが、代わりに、時事問題や歴史、日々の生活に関して、家族でディスカッションしたり、辞書で調べたり、考えたりして、時間を過ごしました。

両親は、ランディが夢を見ること、夢を実現することを奨励し、けっして楽ではない生活環境の中で、その大切さを伝えました。

例えば、自分の中にあふれる想像力をぶちまけたい衝動に駆られて、「部屋の壁に絵を書きたい」と頼んだとき、両親は、喜んで、やらせてあげました。

多くのランディの写真の中で、パジャマを着て、頬杖をつき、空を見上げている姿のものが特に印象的です。彼の幼少時代は、夢を見ては楽しみ、そしてチャレンジする連続だったのでしょうね。

ランディは、「僕は、親の宝くじに当たりました、だから子供の頃の夢を実現できたのです」、と言っています。

●ステキ・ポイント1:「子供の頃からの夢をあきらめなかった事」

ランディの子供の頃からの夢とは、一体何だったのでしょうか?

彼の夢が著書に説明されています。それは;

1.無重力を体験する。
2.NFLでプレーする (注釈:プロ・アメリカン・フットボールの事です)。              
3.ワールドブック百科辞典を執筆する。
4.カーク船長になる (注釈:映画「スタートレック」の人物です)。
5.ぬいぐるみを勝ち取る。(注釈:巨大なサイズを指しています) 
6.ディズニーのイマジニアになる。(注釈:ディズニーランド社で、夢や幸せを形にするクリエイティブな仕事をしている方々です)

これら夢のほとんどは実現しました。一部は失敗していますが、大きな学びの機会となりました。しかし、私が強調したいのは、別の点にあります。

どの夢も、大学教授とは思えない、悪く言えば、子供っぽい夢だと思いませんか?

でも、幼少時には、子供っぽいとか、社会的に価値があるかないかなんて関係なかったはずです。

ランディは、そんな子供の心をずっと持ち続け、夢をあきらめなかったのです。「無重力を体験する」、「カーク船長になる」、「ディズニーのイマジニアになる」、など、どれも、大人になってから実現したものばかりです。

私が子供の頃に感じた夢の一つは、「なるほど・ザ・ワールド(古い!)のレポーターのように、面白おかしく世界で起きていることを伝える」というものでした。

私は、小さな規模ではありますが、この夢を、本メルマガ「世界のステキな人々」で、実現しているんだな、と考えています。

また、アメリカの黒人の子供達に教育の機会を与えたい、とも思ったことがあります。これは、現在、ワールド・ビジョンを通じて、アフリカ(ケニア)のチャイルド・スポンサーを続けることにより、一部実現しています。でも、本当はもっと大きな規模で社会に貢献したいという思いがあります。

ランディは、大学教授になって、教え子と共にNASAのあるコンクールに応募し、無重力体験を勝ち取りました(教え子に感謝!)。また、教授の長期研究休暇(サバティカル)を利用して、ディズニーランドで共同論文を書くチャンスを得て、その後10年もの間、コンサルタントになることもできました。

カーク船長に関しては、彼を演じた俳優のウィリアム・シャトナー氏が、実際にランディのバーチャル・リアリティ研究室を訪問しました。スタートレックという映画で、想像上の「テクノロジー」が、今日どれ程実現されているのか実際に見てみたかった、というのが理由です。

ランディの「カーク船長になる」という夢は、「カーク船長に会う」という形で、実現したのです。

私たちは、なぜ、日々、一所懸命働き、努力しているのでしょうか?

それは、目の前の生活の為なのか、子供の将来のためなのか、それとも、具体的な夢を実現するためなのでしょうか?

私は、30代後半の起業時まで、ずっと、自分の夢を忘れていました。

ランディのように、恥ずかしがらず、あきらめないで、子供の頃からやりたかったこと、経験してみたかったことを、もう一度、もっと具体的に思い出してみたくなりました。

ただ単に生きているだけの人生を、「素晴らしい」瞬間の連続に変えるには、「夢」というスパイス、それが大事なんだと言っているようです。

くだらなくても、かっこ悪くても、ビジネスにならなくても、社会に大きく役立たないと思っても、

自分にとって、価値がある事であれば、それを思いっきりやってみればいい。そんな風に、ランディが背中を押してくれているように感じませんか?

●ステキ・ポイント2:「挫折というレンガの壁にぶちあたる意味を教えてくれた事」

ステキポイント1では、夢を持つことの大切さについて書きました。
一方、その夢について、私たちは、一体どれくらい、本気でかなえたいと思っているのでしょうか?

ランディは、多くの夢をかなえてきたと書きましたが、実は、多くの失敗をも、経験しています。例えば、ブラウン大学やカーネギー大学院への入学もすんなりいかなかったし、成績もソコソコだったと本人は言っています。

夢の一つである「無重力体験をする」ことに関しても、そうでした。
教え子達と応募して、NASAの無重力体験が可能になったまでは良かったのですが、「教師は対象外」というルールがあったのです。しかし、なんと彼は、ジャーナリストに転身するという形で許可を得て、無重力体験に参加できました。

「ディズニーのイマジニアになる」という夢に関しても、コンピューターサイエンスのマスター(修士)でありながら、就職を断られました。
それでもあきらめず、ディズニー内のバーチャル・サイエンス・プロジェクトのキーパーソンを見つけ出し、あの手、この手を使って説得し、見事プロジェクトに参加できました。

ランディはこう書いています;

「夢をかなえる道のりに、障害が立ちはだかった時、僕はいつも自分にこう言い聞かせてきた。

レンガの壁がそこにあるのには、理由がある。

僕達の行く手を阻むためにあるのではない。その壁の向こうにある何かを、自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスを与えているのだ」。

そうです。私は、いつも失敗ばかり。

MBAを持っている、海外勤務経験があるという理由で、「ケイティさんは成功している」と言われる事が多々あります。

実際は、大学院でも、友人の多大なサポートがなければ、卒業できなかったかもしれないし(笑)、会社の上司とは喧嘩するし、アメリカで就職したベンチャー企業が倒産して生活に困ったり。。。惨めな思いを沢山しました。

落ち込んだ事のほうが、圧倒的に多いのではないでしょうか。

でも、ランディのこのメッセージを聞いて、励まされました。
失敗している事そのものに焦点をあてるのではなく、いかに本気でその先にあるものを求めているのか、が大事だという事なんです。

夢」と「失敗の連続」は、ワンセットなんですね(つらい!)。

もし、失敗が続いたり、障害にぶつかったりして、落ち込んだら、自分に聞いてみましょう。

「これは、本気でやり遂げたいことなのか?」

物事はうまく進まないことのほうが多い。だからこそ、本気で求めていることにエネルギーを集中しよう。そんなメッセージを感じました。

●ステキ・ポイント3:「最期まで、人生を楽しみながら、情熱的に生き抜いた事」

残された時間、彼は、どんな気持ちで過ごしていたのでしょうか?

無邪気で明るい彼は、「楽しむ事」を忘れていませんでした。

ある陽気な一日、ランディは、大好きなコンバーチブルの車に乗り、屋根をはずし、窓全開で、ラジオの音楽にあわせてリズムをとっていました。

満足そうな笑みを浮かべていたランディを、友人がたまたま見かけて、大きなショックを覚えたといいます。そして、同時に、「幸せな気持ちにもなった」と。

なぜなら、健康な自分は、日々不満ばかり並べているのに、余命宣告されたランディは、一瞬一瞬を楽しんでいたからです。

またランディは、こうも書いています。

「二人して、ベッドの中で泣いてから、ぐっすり眠って、目が覚めてさらに泣いたりする。目の前の仕事に集中することで、何とか持ちこたえている部分もある。僕達はボロボロになるわけにはいかない。睡眠もとらなくてはいけない。朝になったら、どちらか1人は起きて子供達に朝食を食べさせなくてはいけないからだ」

子供がいる方や、仕事で忙しい方にはよく伝わるメッセージですね。

癌に侵されている事実に打ちのめされ、やぶれかぶれになって、全てを放棄したくなる。でも、子供の顔を見たり、やってくる仕事に助けられ、「泣いていてはいけない、前に進まねば」、という気持ちになるのでしょうね。

ランディは、悲惨な状況を嘆き悲しみながらも、自分の足で立ち上がって、日々、感謝と楽しむ気持ちで、精一杯生きていたのです。

私たちは、ここから何を学べるのでしょうか?

将来の事を考えて、暗くなっても何の解決にもならない。
希望をもって、日々感謝して生きてこそ、前に進める。

悲観的になったり、自分をあきらめたら、本当にストップしてしまう。。。私は、そんなメッセージを感じています。

命がまだ十分残されている私達はできるはず、ですよね?

●ステキ・ポイント4:「命をかけて、夢をかなえることの大切さを伝えてくれた事」

アメリカでは、何年も前から、「最後の授業」シリーズが行われています。それは、講師が、死を仮定し、人生最期の機会であれば、一体自分はどんな知恵を伝えたいか、どんな置き土産を残したいか、そんな発想で授業をするというものです。

残酷な事に、2007年8月、ランディは、医者から、余命数ヶ月と宣告されました。

ランディは、この講義を受け入れ、2007年9月、400名の聴衆に向かって、りっぱに授業をやり遂げました。文字通り「最期の授業」となったのです。

彼は言いました;

「僕は、講義をやりたいからしたのではない。
やらなければいけなかったんだ。」

使命感 - これがランディを突き動かした理由です。

私は、大きな事故や、難病になったことはありません。しかし、いつも、「死」を意識しています。特に、息子を3年前に帝王切開手術で出産したときから、より身近に感じるようになりました。

しかし、「私の命がもし、余命3ヶ月だとしたら、どう過ごしたい?」という問いに対して、明確な答えを見つけられずにいました。

それは、私が、まだ生きていて、死を心底信じていないからだと思います。

でも、ランディは、自分の人生を通じて、私のこの問いに対するヒントをくれました。死を宣告されてから彼がやったこと、それは、下記のようなものでした;

●家族と共に過ごす
●自分が死んだ「後」のための準備
子供達が大きくなったときに、いかにランディが子供達を愛していたかを伝えるメッセージを書いたり、ビデオを撮った。
その他、生命保険などの事務手続きを済ませた。

そして・・・

●教授として、文字通り、「最後の授業」をやり、夢をかなえることの大切さを伝えた。

ランディは、刻々と迫る死に立ち向かいながら、一分一秒も無駄にできない状況で、膨大な授業の準備を見事にやり遂げました。

2008年4月、アメリカで彼の本が出版されたのを、ランディは見届けることができました。余命宣告された数ヶ月という期間よりは、長く生きる事ができたのです。

しかしその3ヵ月後の2008年7月25日、ランディは、全てをやり遂げ、家族の愛に見守られ、永遠の眠りにつきました。

あなたは、もし、「あと余命3ヶ月です」と言われたら、一体何をやりますか?

誰もが、命をかけるのに相応しいことを選ぶのではないでしょうか?

私たちは、ランディから多くの事を学ぶことができます;

● 与えられた命に感謝しよう。
● 夢をあきらめない。
● 死が訪れる日が来るまで、後悔しない生き方をしよう。

ランディの命を無駄にしない、これが、私たちの出来ることではないでしょうか?

最期に・・・

ランディの最愛の妻、ジェイへ、

ステキなメッセージを有難う。

ランディは、私たちの心にいつまでも生き続けています。
http://well.blogs.nytimes.com/2008/07/27/the-online-legacy-of-professor-pausch/

ぜひ、ランディの著書を読んでください。
あなたの心に響くものがかならずあるはずです。         
https://hkgc.jp/topics/2007/000097.html#comment-2395

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