取材後記(3) コトラー教授、そしてケロッグの強みとは フィリップ・コトラー教授
自然に人が集まり、誰もが師と崇め、その言葉を励みに自らの志に向って進んでいく。超一流といわれるコトラー教授の“人”を惹きつける魅力を解き明かす。さらに コトラーカンファレンスに登壇したローソン新浪社長、そしてコトラー教授が語る、ケロッグの魅力とは。
超一流といわれるコトラー教授の魅力
来日前、コトラー教授と親交の深い、シカゴ在住のある卒業生が、コトラーの人となりについて話してくれた。
「コトラー教授は、一流を通り越して“超一流”の人物。一流と超一流の違いは何かというと、一流はそうとみなされる能力、つまり才能がある人。そして、超一流というのは、それに加えて、人徳が備わった人を指す」。
実際に対面したコトラー教授は、まさにその通りの人物だった。
コトラー教授は、滞在中ずっと、信じられないほどフレンドリーで、謙虚だった。フライトの長旅で疲れているはずなのに、車中でも全く疲れた顔を見せず、私達の話にも丁寧に耳を傾けてくれた。さらに、それだけでなく、常にメモを取り、学ぶ姿勢を見せてくれた。
この態度は、過密スケジュールでどんなに疲れている時でも、終始変わらなかった。そこには、有名人が良く陥る「高慢だったり、威圧的な権力者」の影はまったくない。
また、撮影中、ときどき、サービス精神を発揮して、お茶目なポーズをしてくれたり、カメラ目線を送ったりしてくれた。さらに、イベント会場では、自らのスマートフォンで会場の様子を撮影し、まるで逆取材を楽しむように笑顔を見せた。
コトラー教授は、常に自ら顧客の視点に立って世の中を見つめ、体験する。そしてどんな立場の人とも親しく交流し、相手について学ぶ。それは80を超え、あらゆる地位と名声を得た今もまったく変わらない。富や賞賛の声は、彼の本当に欲しいものではないからだ。
ローソンの新浪社長、そしてコトラー教授が語った、ケロッグの強み
コトラーカンファレンス2013に登壇した、ローソンの新浪社長は、ハーバードビジネススクールの卒業生である。その新浪社長が、イベント開始前に、ケロッグについて貴重なコメントをして下さった。
「ケロッグはハーバードと違って、グループで学び結果を出すという、大変優れたMBAプログラムだと思います。
一人の天才よりも、多様性を活かし、いろんなアイデアを掛け合わせるスキルは、これからもっと重要になると思います」
爽やかな笑顔の新浪社長だったが、まっすぐに見据えるその目には、大局をしっかり捕える重要性を感じた。
ケロッグの教育の核である「コラボレーション型リーダーシップ」が、現代の閉塞感漂う日本経済において、いや社会全体において重要なソリューションとなってきていることは否めない。ケロッグは早くから一歩先を読んで取り組み、教育を行ってきた。
そして、コトラー教授にも、ケロッグの独特な教育や卒業生について語ってもらった。
「ケロッグは、チームワークを非常に重視しているビジネススクールであり、その点では世界でナンバー1である。チームワークによるコラボレーションは1+1=2 ではなく、2+2=5、というシナジー効果を生み出す。
仕事の現場では、一人で完結するものはない。コラボレーションが仕事の基本であり、成功の鍵である。」
先生からケロッグのコメントを聞いたのは初めてだった。先生が教えるマーケティングは、チームワークなくしては成り立たない。改めて、ケロッグの教育方針の戦略性に納得した。
取材・文責:ケイティ堀内
*この記事は、ケロッグ・クラブ・オブ・ジャパン(ケロッグ経営大学院 日本同窓会)が運営するサイト、ケロッグ・ビジネススタイル・ジャパン向けに執筆したものです。