記事|実績
WORK
取材後記(5)コトラー教授のミッション〜世界をより良い場所へ フィリップ・コトラー教授

取材後記(5)コトラー教授のミッション〜世界をより良い場所へ フィリップ・コトラー教授

コトラー教授が追求するミッション、それは“世界をより良い場所へ”変化させていくこと。その思想はケロッグを通じて、卒業生達へ受け継がれている。わたしたちは、どんなに違った事業・業界にいても、社会をより良い場所へするために、皆が同じベクトルへ向かっている。これこそまさにケロッグのDNAだ。

マーケティング3.0

80歳を超えたコトラー教授だが、マーケティング研究への情熱は、衰えるどころか、ますます高まっている印象を受ける。近年、「マーケティング3.0」という本を出版し、そのコンセプトについて発表した。

コトラーは、これからの3つの重要な力として、“参加の時代”、“グローバル化のパラドックス”、“クリエイティブ社会の時代”を挙げた。そして、マーケティング3.0とは、「協働マーケティング」「文化マーケティング」「スピリチュアル・マーケティング」の融合であると説明している。

滞在中、貴重な機会を得て、コトラー教授に、どのくらい、マーケティング3.0を実現している企業が存在しているかと質問した。すると、「あえて挙げれば、グーグルやフェイスブックだろう。しかし、ほとんどの企業はまだマーケティング3.0を実践できていない」と語った。

コトラー教授が「マーケティング3.0」という本を出版

しかし、今後、もしマーケティング3.0を実践する企業が増えてきたらどうなるだろうか。より大きなミッションやビジョンを持ち、社会問題に対するソリューションを提供し、世界に貢献する企業が増えることになるのではないだろうか。そうであれば、より素晴らしい未来を描くことができるはずだ。

コトラー教授は、今後のメディアの在り方について、「10~15年後には、広告予算の50%がソーシャル・メディアに行く」という未来を読んでいる。

つまり、企業が大きな予算をかけて実施してきたテレビや紙面での広告から、共感されなければ広がらないソーシャル・メディアへとシフトしていくというのだ。コトラー教授が唱えるマーケティング3.0の世界では、人々の精神的な充足感や連帯感が最重要となる。ソーシャル・メディアは企業広告を凌駕する存在となるだろう。

世界をより良い場所へ

コトラー教授

前述のように、コトラー教授はマーケティングを社会問題にも適用し、貧困救済計画などのソリューションについて執筆している。今後は平和の達成に向けて、如何にマーケティングが寄与できるかを考えている。 

多くの卒業生達が、ケロッグの教育を通じて、日本、そして、世界への貢献を願っている。だからこそ、エグゼクティブや企業リーダーとして活躍している卒業生達が、多忙なスケジュールを調整し、多くのKJCミーティングやイベントに参加、交流し、情報を発信している。また、卒業生は、この「ケロッグ・ビジネス・スタイル・ジャパン(http://kelloggbiz.jp)」のサイトを立ち上げ、持っている経験や知識を社会に役立てようと、コラムやインタビューを通じて定期的に発信している。

さらにいえば、転職しようが、従事する事業や住む国を変えようが、ケロッグ卒業生としてのDNAは消えることがない。コラボレーション型リーダーシップで世界をより良い場所へ変えていく「ケロッグ」スピリッツは、人を結びつけ、チームで成功へと導く。

卒業生は、ケロッグで、分野、性別、人種、年齢など、あらゆる壁を越え、多様性を重視し、それぞれの強みを活かしたチーム力で、勝利を得ることを学んでいる。これからもこの“ケロッグDNA”を活かして、日本経済を変え、世界をよりよい場所に導くことに挑み続けていくだろう。

コトラー教授の取材によって、多くのケロッグ卒業生を含めた日本のプロフェッショナルが、あらためて彼の考える世界を学び、自分たちの進むべき道を確認できたはずだ。この素晴らしい機会に恵まれたことに心から感謝したい。

コトラー教授

最後に、コトラー教授の密着取材は、招聘団体のコーディネーターであるJMA(日本マーケティング協会・後藤卓也会長・嶋口充輝理事長)の協力なしには実現しなかった。コトラー教授の来日と、スケジュール全般を取り仕切った石橋氏と、完璧なオペレーションで全てを予定どおりに運んでくださった服部氏に、この場を借りてお礼の言葉を伝えたい。

取材・文責:ケイティ堀内

*この記事は、ケロッグ・クラブ・オブ・ジャパン(ケロッグ経営大学院 日本同窓会)が運営するサイト、ケロッグ・ビジネススタイル・ジャパン向けに執筆したものです。

コメントは受け付けていません。

Page Top