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留学経験ゼロだった自分がグローバルリーダーへ挑戦した理由(3):小田原 浩さん

留学経験ゼロだった自分がグローバルリーダーへ挑戦した理由(3):小田原 浩さん

世界が多様化し、いま、グローバル展開が急激に進んでいる。日本人プロフェショナルにとって、急務とされているスキルが、“リーダーシップ力”である。

男女といった性別だけでなく、職業や産業、国や宗教の壁をこえるだけでなく、個人の価値観の差もあって、多様化はますます進むばかりだ。チームワークが大事とはわかっていても、ときにはヒートアップしてしまうのが現場である。リーダーはどうあるべきなのだろうか?

連載の最終回、小田原さんが実践する“リーダーの極意”についてお伝えしよう。そして新会長としてKCJをどうリードしていくのか、今後の展望についても興味深い話を語ってくれた。

 

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相手に「自分は特別」と感じてもらう

小田原 浩氏

「例えば、100人の組織があったとして その中にサブリーダーが数人いるとします。私は、この数人のサブリーダー達とまず関係を作ることを大切にしています。それが上手くいくと、その先に拡がっていくからです」

“関係を作る”とあるが 具体的にはどうするのだろうか?

「相手に『この人にとって、自分は特別なんだ』と思ってもらえるように、対応することが重要です。そのためには、まず相手について、より深く理解しなければならない。

しかし、よく知らない相手にいきなり『あなたについて教えてください』、と言っても、教えてくれるはずもない。

だから自分の場合は、相手に自分の本音を先に話すようにしています」

小田原さんによると、“タイミング”も重要だという。

まだ関係ができていないまま本音を話すと、「誰にでも話しているんだろう」と誤解されてしまう。コミュニケーションを重ねて、ある程度、人間関係ができたところで本音を話すと、「自分だから心を許して話してくれるんだな」と思ってもらえるという。

個々の思いを、見えないサインで読みとる

率直に本音を語るのも、相手によっては、逆に働く場合がある。

「だんだんシニアな立場になってくると、メール1本の書き方も気を付けないと、後輩をビビらせてしまうこともある。だから、本音で話してもらうためにも、安全な環境を作ってあげることが大事ですね。

小田原 浩氏

人間って見事なくらい、考えや感情が顔にでるんです。自分はそれをしっかりと見ています。表情だとか声のトーンだとか。

例えば、社内の打合せで、若い後輩にアサインメントを与えて、『わかりました』という返事があったとします。同じ言葉でも、若干、声に自信がない『わかりました』もあるわけです」

そんなとき、小田原さんはどうするのだろうか?

「ちょっとおかしいな、と思ったら、ミーティング後に1本のメールを入れて、『さっきの件、大丈夫? もう1回話そうか』とフォローします。自分の場合、気にしすぎることも多いので、しつこくなり過ぎないようにしています」

相手の本音を聞き出すにも、個別で丁寧なコミュニケーションによる関係づくりが大切だ。そして、このセオリーは、海外でも同じように大事だという。

チームのリーダーは一人ではない

ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院(ケロッグ・スクール・オブ・マネジメント)で、得意分野が異なる人が集まったチームの強さを学んだ小田原さんは、リーダーは一人ではないと語る。

小田原 浩氏

「その時々で必要なスキルや知識も違う、私は、色々なリーダーがいて良いと思っています。マッキンゼーはチームワークを非常に重んじる組織で、ケロッグと似ている部分があり、社員一人一人が、自らをリーダーだと思って仕事をしています。」

つまり、マッキンゼーでは、クライアントの課題に応じて、課題解決に最適なスキルを持つメンバーがプロジェクトのリーダーを担い、さまざまな得意分野を持つチームでサポートするというわけだ。

リーダーの役割は“逆張り”

「いろいろなリーダーに会ってきた中で、『この人はすごいなあ』という人は、緊急事態に逆に堂々としてらっしゃいますね」

小田原 浩氏

良きリーダーは、トラブルが発生した時に慌てふためず、冷静に、みんなを落ち着かせられる。逆に状況が深刻であるにも関わらず、みんなの危機感が薄いときは、あえて怒ったり、厳しいことを言って、目を覚まさせる。

「リーダーの役割は、常に逆張りだと思いますね。人と違うことをする、そこに付加価値が生まれます」

本当のリーダーはうまく回っているものには手は出さない。自分がいなくても回るようにして、自分の分身を作り、その人に後は任せて、自分は次に行くものだ。

「ケロッグ」は魔法の言葉―世界のネットワークとつながる

稲葉 良睍さん

「ケロッグは卒業しても関係が続く。日本人もそうですが、海外の同期クラスの友人が日本に来ると、連絡くれるんですよ。それで飲みに行ったりしています。

マッキンゼー内にも、ケロッグ卒業生が世界中にいますよ。ケロッグ卒業生というだけで、お互い打ち解けたりしますから、『ケロッグ』というのは魔法の言葉だな、と思います」
さらに小田原さんは続けた。

「ケロッグは、タテやヨコの繋がりが強いので、ケロッグの卒業生と伝えるだけで、例えば、YKKの会長だった吉田さんや、エーザイの社長である内藤さん、といったトップリーダー達とも交流を持つことができました」

ケロッグにはGIM(Global Initiatives in Management)という海外地域研究プログラムがある。学生がリーダーとしてカリキュラム作成し、春休みに2週間、海外の対象地域にて研修を受ける。

小田原さんは、エジプト、ヨルダン イスラエルの三か国を訪問したが、エジプトの石油省大臣や、ヨルダンの首相、イスラエルの大統領など、錚々たる人たちに会うことができた。ここでも「ケロッグ」の海外ネットワークが役立ったという。

「ケロッグでは、いろいろ人と出会いやすいですね。卒業後もこのネットワークが広がっていく感覚が凄くあるんですよ。これがケロッグMBAの凄いところです」

KCJのこれから

ケロッグ留学時代や、マッキンゼーでも、常にリーダーとして成長し、成果をあげてきた小田原さん。2019年からは、KCJ(ケロッグ・クラブ・オブ・ジャパン)の新会長に就任した。リーダーとして、KCJを今後どうひっぱっていくのか?

「同窓会は、まずコミュニティが強くなきゃいけないと思うんですよ。

『強い』というのは、シニアからジュニアまで、世代を跨いで結びつきが強いことです」
小田原さんは、ある活動を考えている。

小田原 浩氏

「今後の活動としては、ケロッグの卒業生に役立つことと、世の中のために役立つことがあります。最初は前者を考えていました。たとえば自分が情報を欲しい時に、同窓会の他のメンバーから情報を教えてもらえたり……。

ところがケロッグの卒業生は、自分が助けてもらうというより、他人のために何かしたいと考える「お人好し」が多いんですよ。ですから、まずは年末に開催される総会で、KCJの仲間でいろんな議論をして、何か世の中に役立つことができたらいいなと、考えています」

インタビュー(1)、(2)でも伝えたが、小田原さんは「人見知り」で、ネットワーキングのパーティーなどは大の苦手だ。それでも、ケロッグでは、常にグローバルな環境を求め、ありとあらゆるプロジェクトやイベントでリーダーを務めた。

その結果、短期間でグローバル環境下でのリーダーシップ力を鍛え、マッキンゼーという最強の経営コンサルティング会社で、パートナーとして活躍している。

そんな小田原さんを新会長として迎えたKCJ。若い世代が中心となり、ユニークな試みや活動も加わって、新たなフェーズを迎えている。これからのKCJが楽しみだ。

奥様 RATAさん、小田原さん、井上敦朗さん、ケイティ堀内(H&K)

ケロッグ同窓生が集結! 左から:奥様 RATAさん、小田原さん、井上敦朗さん、ケイティ堀内(H&K)

取材・文責:ケイティ堀内

*この記事は、ケロッグ・クラブ・オブ・ジャパン(ケロッグ経営大学院 日本同窓会)が運営するサイト、ケロッグ・ビジネススタイル・ジャパン向けに執筆したものです。

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