より良く生きる事こそが全て:アルメニア人夫妻から学んだこと(1)/ 全3回
クイーンのフレディー・マーキュリーの曲が好きだ。
音楽ファンの間ではよく知られているように、フレディーのバックグランドは大変複雑だ。ペルシャ系インド人の両親のもと、アフリカ東海岸のザンジバルで生まれている。両親は宗教マイノリティーのゾロアスター教徒。両親の元を離れ、17歳までインドの寄宿学校で育った。
その後、両親の住むザンジバルに戻ったものの、翌年にザンジバル革命が勃発。一家は難民としてイギリスに渡っている。彼は、親の代から、いや迫害によりイランから逃れた祖先の代から、流浪の定めを受けた人なのだ。
世界で起こっていることの多くは、マジョリティーの視点で語られる事が多い。しかし私は少数者の立場から話を聞くことも大事にしている。
私たち夫婦は英語で仕事をすることが多い。その関係から、国際交流パーティーやハイキングツアーなどに参加して、多くの外国人と知り合いになる。純粋に英語が好きで、今後も変わらない。
つい先日、某国際交流団体のハイキング帰りの夫が「今日、日本人には馴染みのない国の人に会ったよ。アルメニアの方だそうだ」と言った。
アルメニアという国名には聞き覚えがあった。しかし心には残っておらず、どんなところなのか全然知らなかった。さっそく彼は、そのアルメニア人夫妻が働くレストランに行く約束を取り付けたそうで、誘われた私は、忙しいし、良く知らない国なので正直ためらいがあった。しかし今回はなぜか、彼らに会う事で何かが変わるような気がした。そしてぜひとも会ってみたいと思った。
初めてそのアルメニア人夫婦に会ったのは、今年(2020年)の1月上旬。場所はとある NPO が運営する レストランだった。十数カ国の主婦や学生たちが日替り当番でランチやカフェメニューを提供している所で、彼らも時折働いていた。彼らはまだ若く30歳前後だろうか。2歳になるお子さんがいるという。
彼が振る舞ってくれた母国の家庭料理は、とてもおいしかった。私たちは再会を約束し合った。そして、日本人には想像もつかない歴史や事実があったことを知らされた。
(次に続く)
(C)ケイティ堀内 (構成:yanvalou)
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