ステキ人ストーリー
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ホームレス問題に世界規模で取り組む “Big Issue”を立ち上げた人々

ホームレス問題に世界規模で取り組む “Big Issue”を立ち上げた人々

1歳半の息子が、最近言葉を話し始めました。「こっち」、「おばーちゃん」、「ミッフィーちゃん」、「バイバイ」などなど。
可愛い盛りで、お話するのが楽しみになってきました。

ホームレス問題って、自分には関係のない事だと思い、それまで避けていた私。パートナーのヒデ(彼は大学時代ホームレスの方のために炊き出しのボランティアをしていました)から、「面白い雑誌があるよ」と言われ、初めて大阪駅近で、ホームレスの方からその雑誌を購入しました。

その雑誌の名前は、「Big Issue(ビックイシュー)」。1冊200円で、30ページ程の薄い冊子です。なぜ、購入するに至ったか?

それは、トム・ハンクスやマドンナ等の有名なセレブが表紙を飾っている雑誌を、ホームレスの人が売っているというギャップから、どんな本だろう?と好奇心を持ったからです。

より深く理解する為に、早速、大阪に本社があるビックイシュージャパン社を訪問し、代表の佐野さんにお話を伺ってきました。

今回のメルマガでは、この不思議ともいえる雑誌を発行した、いわゆる「社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)」の二人について、ステキポイントを探ろうと思います。

ビッグイシュー誌は、1991年にイギリスで創刊されました。内容は、 プロのジャーナリストによって編集され、ホームレスの方が販売するという仕組みです。成功した今では、世界28カ国にまで展開され、2006年に、26カ国目として、日本でも創刊されました。それは、BBCニュースでも報道されました。

ビックイシュー誌を創刊に導いたのは、イギリス人のゴードン・ロディックとジョン・バードの2名です。

ゴードンは、1942年スコットランド生まれ。かの有名な自然化粧品会社「ボディー・ショップ」の共同会長です。妻アニータ・ロディックと、1976年に会社を立ち上げ、53カ国に展開される程の成功に導きました。

妻のアニータは、英国政府から「Dame」という勲章を授けられ、社会活動家としても有名です。一方、夫のゴードンは、日本ではあまり知られていませんが、多くの事業を展開する大変な企業家なのです。

ビックイシューの創刊は、彼がニューヨークで、ホームレスが売るストリート新聞を見かけたことから始まりました。
ホームレスのこの活動に感銘した彼は、ボディーショップのメンバーに、イギリスでの事業性を検討させました。しかし、驚いたことに、彼らの結論は、「事業として成立しない」というものでした。

それでもあきらめず、今度は、詩人仲間であるジョン・バードに相談し、市場調査を依頼しました。ジョンは、チャリティーでなく、ビジネスとしてでなら、十分成立するという結論を出し、ゴードンが30万ポンド(約7千万円)もの資金を提供することから、ビックイシューは始まりました。

ゴードンは、「Business have the power to do good」という強い信念を持っており、社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)として、チャリティーでなく、ビジネスとして、社会問題を解決することに情熱を持って取り組んでいます。

その証拠に、ビックイシュー以外に、「ボディーショップ」、「The Day Chocolate Company」、「FreePlay」、等など、同様のコンセプトで、人権問題やフェアトレードを推進する事業に関わっています。

私が考える彼のステキポイントは、、、、、

●ステキポイント 1:
人権や環境問題などの社会問題を、ビジネスを通じて解決するという情熱を持ち、「一貫した行動」をしていること

です。

彼の「価値観」とは、あらゆる社会問題の解決に、ビジネスを適用することであり、その逆ではありません。ボディーショップを引退した後も、同社のボランティア活動に活発に参加し、アムネスティーの人権問題キャンペーンをサポートしたり、また上述されているような、多くの事業を展開したり。

私のように、力のない一人の人間でも、たった200円で、ホームレス問題解決に関わることができるのです。雑誌購入時に、ホームレスの人と話すきっかけができたし、雑誌を読むことによって、彼らのハートに近づいた気がしました。

ちなみに、表紙に出ているハリウッドセレブ達は、全くの無償で、インタビューや写真撮影に応じており、大衆を引き付ける役割で貢献しています。

特に、ビックイシューの中で面白いのは、ホームレスの人を紹介する「今月の人」や、ホームレスの方による「ホームレス人生相談」です。ホームレスの方の考え方は、一般の人々より純粋だったり、より人間的だったりして、学ぶことが多くあります。

ゴードンの一貫した(コミットした)行動やメッセージが、私たちに大きな影響を与えている。半端じゃできない「ヒト・ブランディング」活動を見たような気がします。

次は、もう一人の立役者、ジョン・バード氏について、見てみましょう。

彼は、1946年にイギリスのノッティングヒルの貧困スラム街で生まれ、幼少時にホームレスを経験し、孤児院で過ごし、10代で犯罪に手を染め、刑務所にて刑期を勤めた経験を持ちます。その後は、印刷や出版業をはじめました。

ゴードンとジョンは詩人仲間でした。ある日、ゴードンから、ビック・イシュー関し、ビジネスの可能性を検討依頼されました。
ジョンは、「チャリティーではなく、ビジネスとしてであればロンドンで成立する」と結論を出し、45歳の時に、創刊に導きました。

彼は、今では社会企業家の成功者として高く評価され、英国王室よりMBEの勲章を授かっています。また、サッチャー、トニー・ブレア、国連のアナン大使、ブリティッシュテレコムなど、著名な人や企業に対して、スピーチを行いました。2007年には、ロンドン市長へ立候補しています。

ビックイシューの仕組みについても調べてみました。イギリスでは、ホームレスの方が、30pを支払って雑誌を購入し70pで販売します。
よって、40p(57%)の利益を得られます。日本も同様に、90円で購入し、200円で販売するので、110円(55%)の利益がでる仕組みとなっています。

ビックイシューは、広告収入というよりも、雑誌の販売によって収益が確保される仕組みをとっています。例えば、日本ビックイシューでは、広告収入の貢献は、たった8%で、残りは全て雑誌の販売による収益です。つまり、ホームレスの方との利害関係は一致しており、魅力的なコンテンツを作り、販売部数を伸ばすことによって、WinWin関係が構築できるようになっています。

実にうまく出来ているこのビジネスモデル。これはジョンの経験が大いに活かされた結果だと思います。ここにステキポイントを感じます。

●ステキポイント 2:
自分の生い立ちや経験を、事業に活かし、オリジナルの世界を作り出した

つまり、彼のホームレスとしての実体験があったからこそ、ホームレスの根本的な原因と解決法を見出せたのだと思います。
政府や慈善団体の一般的な考え方に従えば、恐らく、雑誌の販売から得た収益を寄付しようとか、家を提供しよう、などといったレベルに留まっていたでしょう。

しかし、彼は、ホームレスの原因は、「自尊心やモーティベーションの欠落」だと考えたのです。

イギリスでも日本でも、ホームレスの特徴は共通で、多くは、男性です。年齢層でいえば、日本は、50~60歳、イギリスでは、18歳からと、若い層も入りますが、両国とも、ホームレスになった大きなきっかけは、「Relationship Breakdown/人間関係の破綻」なのです。

ジョンは、この問題を解決するのは、「Self Help/自立」だと考えました。ビックイシューで、「仕事の達成感」を得られる場を提供し、「人間としての尊厳を取り戻す」きっかけを作って欲しいと考えたのです。

あるイギリスの雑誌インタビューで語ったジョンの言葉を引用します:

"I have been homeless, offender, and addict and am now a revolutionary bundle of energy that helps people to realize their goals. Now I know the poor and the rich. I know the powerful and the powerless."

日本語訳:
私はかつて、ホームレスで、犯罪者で、中毒者でした。しかし、今は、社会の人々のゴールの実現を手助けしようとする革命的なエネルギーで一杯です。私は、貧しい人も金持ちも知っています。そして、強力な人も知っているし、無力な人も知っています。

「経験」というのは、何と素晴らしいチャンスを与えてくれるのでしょうか? それが失敗だろうが成功だろうが、辛いものだろうが嬉しいものだろうが、経験というものは、私たちに、未来の可能性を広げるエネルギーの原動力だったんですね。

私は、多くの「失敗や辛い経験」をしてきました。例えば、アメリカ現地で働いたときも、英語でなかなか共同作業がうまくいかず、ビジネスが前に進まなかったり、最終的には、会社が倒産して、行き場がなくなってしまったり。。。

いま考えてみたら、この辛い経験があるからこそ、H&Kグローバル・コミュニケーションのサービスが生まれたのだと思います。私たちの国際コーディネーションサービスは、お客様にこのようなトラブルに巻き込まれないよう、コミュニケーションの円滑化を中心に、事業を設計しています。

同じ体験をした人しかわからない痛みや苦しみ。自分の経験によって、その問題を解決することができたら。。。自分のつらい過去や経験を活かした仕事は、ライフワークにまで発展する可能性があると思います。

今回、ビックイシュー創刊に導いた方々を通じて、一貫したメッセージを伝えること、そのメッセージは、体験に基づくものほど、説得力を持つ、ということをお伝えしました。

あなたは、どんなメッセージを伝えていますか?

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